MT-03のO/H
MT-03のエンジンオーバーホールの内容について書いていきたいと思います。
分解をして傷等の確認は前回のブログで書いているので今回は組み上げるところを書かせて頂きます。
クランクケースについてるスライドメタルは少し傷が入っていたので、新品に交換しました。
右が今まで使用してたもので左が新品になります。
このメタルもクランクケースの識別番号とクランクシャフトやバランサーシャフトの識別番号の組み合わせによって使用するメタルが変わってくるので分解した後じゃないと注文することが出来ません。
メタルを交換した後はクランクシャフトやバランサーシャフトを組み込んでいきます。
この時、組み上げた後最初にエンジンをかける際傷が入らないようにするためワコーズのエンジン組み付け用ペーストを塗ります。
その後、クランクケースの上下を組み付け規定トルクで規定の順番で締め付けていきます。
この作業が結構重要でトルクがバラバラだったり順番を間違えたりすると、クランクケースが少し歪んでしまい本来のパワーが発揮できなくなってしまうので慎重に作業していきます。
私はこのタイプのトルクレンチが感覚的にも均等にトルクをかけやすい為エンジンを組み上げる時はこれを使用しています。
次はコンロッドを組み付けます。
ここもメタルが使用されてるので交換します。
この時もペーストを使用します。
本来であればあまり気にすることはないのですが、今回の作業が競技車両ということもあり、シリンダーのボア径とピストンの径を精密に測り1番シリンダーと2番シリンダーどちらの方とピストンの相性がいいかを考えて割り振りました。
ピストンリングの組付け角度はメーカーで指定があるので従って組付けていきます。
シリンダーを入れる際にリングが回ってしまわないように気を付けながら入れていきます。
この車両ではもう一つパワーを上げるためにバルブシートカットを行いました。
バルブが閉じたときにしっかりと密閉できるように丁寧に削っていきます。
また、年に1回エンジンメンテナンスする予定の車両なので今回は密閉率は上がる代わりにバルブシートの消耗が早くなってはしまうのですが、パワー重視でセッティングをしていきます。
バルブシートカットを行いバルブを組み付けた後ちゃんと密閉できているかオイルを入れて1日放置して確認します。
テストの結果しっかりと密閉できていたのでこのまま組付けていきます。
エンジンのヘッドもクランクケースと同様、締め付けトルクや締め付け方でシリンダーの円の形やシリンダーとヘッドの面の当たり方が変わってしまう為ここも慎重に組付けていきます。
その後はタペットクリアランスを計測して規定値内に収めるのですが、ジムカーナの走行では低速を使うことが多いので規定値内の中でもなるべくクリアランスが広くなるようにセッティングしていきます。
最後に、クラッチなどを組み付けて完成になります。
後日、練習場にて乗らせてもらったのですが以前よりもパンチも出て排気音もメリハリのある音になりました。
エンジンオーバーホールをした後の動画を張らせて頂きますので、参考にしてみてください。
エンジンO/H前
エンジンO/H後