MT-03エンジンO/H
■ 2024-06-06
ストラテジー中央店に勤務しております。
藤澤秀吉とです。
今回は競技車両のMT-03のエンジンをオーバーホール&チューニングをする機会がありましたので、ブログでまとめさせて頂きました。
少し長くはなりますが、最後まで読んで頂けると幸いです。
まず今回エンジンオーバーホールをする事になった経緯なのですが、オーナー様からカムチェーンの緩んだような異音がするといった事を伺った事がきっかけでした。
MT-03の走行距離は7005キロで競技に使った期間は1年の距離にして1000キロ程でした。
MT-03はカムチェーンテンショナーが少し弱いといった持病があるようですが、結果から言うと今回の異音の原因はカムチェーンの音ではなくシリンダーとピストンのクリアランスが広がってピストンが首振りしてしまって起こるノッキングが原因でした。
なぜ、7000キロでシリンダーがやせてしまったかというとオイルの選択ミスだと思われます。
もちろん競技で使っている車両なのでそれだけで消耗は早くなってしまうのですが、プラスでオイルと車両の相性があっていなかったり競技での環境に耐えられないオイルが入っていたことにより消耗が加速したと思われます。
オイルパンにはスラッジが多く残っている状態でした。
あまり使ったことのないオイルでツーリング等では問題が起きない場合もありますのでオイルの銘柄の公表は控えさせていただきます。
オイルの選択なのですが、オイルメーカーはほとんどオイルの内容を公表していませんのでどのメーカーを信じて使うかになってしまいます。
同じメーカーの中でもいろいろな種類のオイルがありますのでその選び方について私の意見を書かせて頂こうと思います。
今回はメーカーの方とも直接話をさせて頂いたり普段から自分のバイクや車に使用しているオイルでどういった特性を持っているかを知っているワコーズのオイルの種類で説明させて頂きたいと思います。
他のメーカーでも当てはまるところは多いと思いますので参考にしてみてください。
まず、オイルで重要なことは使い道にあったオイルを選ぶということです。
高いオイルが必ずしもどんな場面でもいいオイルということではありません。
高いオイルでも高回転でパワーを上げるために開発されたオイルは性能はいいのですが、すぐにオイルを交換しないとパワーが出なかったり最悪の場合エンジンを傷つけてしまったりする可能性があり基本的に500キロも走らずに交換しないといけないようなオイルもありコストがかなりかかってしまいます。
ツーリング等で使用する場合はメーカーの純正オイルやストリートスペックオイルの方が長く持ちエンジンに良かったりもします。
ここからはワコーズにどういったオイルの種類があるかを書かせて頂きます。
まずは、一番コストの低いプロステージS
プロステージSはストリート向けのオイルとなっております。
熱への強さやフィーリングが特別いい訳では無いですが、スクーターからスーパースポーツに使用しても交換推奨の目安までしっかりと粘度を保っております。
また、アイドリング時のエンジン音も静かで高回転をずっと使用する使い方でなければとてもおススメできるオイルだと思います。
逆に言うと高回転でずっと回しているとすぐにサラサラになってしまう印象です。
自分の乗っているキャラバンに入れて7000㌔走行したのですが、粘度を保っておりました。
次に、スプリントレース等で使用されることの多い4CR
4CRはお金をかけてでも高回転域でピークパワーを求めたい方にお勧めのオイルとなっております。
価格も高くオイルの持ちもジムカーナで2~3日走ってしまうと交換しないといけないほどでコストはめちゃくちゃかかってしまいます。
また、油膜が薄いオイルとなってますので低速域ではエンジンによっては吹き抜け易くなってしまいトルクが出にくい事もあります。
その代わり高回転域では抵抗が少なくめちゃくちゃ回ってくれます。
また、低速域でのアクセルに対してのツキも良く開けた瞬間に前に出てくれる印象です。
自分がCBR1000RRに入れた時は他のオイルでは9000回転あたりから少し詰まったような加速だったのですが、4CRだと9000回転からもスムーズになって吹け上がりが良くなりました。
大型バイクでのジムカーナにはコスト的にも特性的にも少し不向きでしたが、高回転を使う小排気量だと特性的にありなのかなと思いました。
最後に、レースでも使用できて粘度をよく保ってくれるRRR
RRRは低速から高回転までバランスよく回ってくれるオイルで、4CRみたいに高回転でめちゃくちゃ回るようなオイルではないですが、全体的にパワーが出てくれるので扱いやすいオイルの印象です。
バイクでのシフトフィーリングは新油の4CRには劣りますが、それでも入りやすく粘度の持ちも良くシフトな入りやすさが持続してくれます。
低速域でのアクセルのツキもワンクッションあるような感じで開け始めが程よく付いてきてくれるので私は扱いやすいと感じました。
私が競技で使用してるCBRはトリプルアールを使用しておりますが、低回転域で油圧が掛かりにくいところから高回転域を繰り返し使用していてもトラブルも起きず、オイル交換時の粘度もしっかりと残っていて鉄粉等が混じっていたりもしないので信頼しているオイルです。
ただ、価格が高いのでそこに関しては悩ましいところですが、その分いい性能を長く保ってくれてエンジンの保護もしてくれるので価格以上の働きはしてくれてると思って使用しています。
他にもワコーズのオイルはありますが、私がまだ使用した事のないオイルですので使用する事があればまたブログで詳しく書かせて頂きたいと思います。
次のブログではMT-03のエンジンオーバーホールについて書いていこうと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。